バリアフリーとユンバーサルデザインの違い
2017年 05月 18日
バリアフリーとユニバーサルデザインは、発案されたきっかけや背景は大きく違いますが、
事業や整備がよく似ていますので良く混同されています。バリアフリーとユニバーサルデザインの
違いについて考えてみましょう。
思想的な違い
ユニバーサルデザインは、障害者だったロナルド・メイス氏が、バリアフリー対応設備の「障害者だけの特別扱い」に嫌気がさして、最初から多くの方に使いやすいものを作る設計手法として発明されました。一方、バリアフリーは障害者・高齢者などの生活弱者のために、生活に障害となる物理的な障壁の削除を行うという、過去の反省に立った考え方で進化してきました。
ひとつ例を挙げて考えてみましょう。建物玄関前の段差について注目します。 玄関前にある段差にスロープを付けるのはバリアフリーの考え方です。一方、ユニバーサルデザインでは、設計時点からスロープを計画し作りあげる事となります。しかし、どうでしょう。完成した入口は全く同じ形状なのです。これが混同しやすい理由なのかもしれません。
その他の違い
バリアフリーは、障害者・高齢者などに配慮されて策定していますが、ユニバーサルデザインは、個人差や国籍の違いなどに配慮しており、全ての人が対象とされています。また、普及の方法も大きく違い、バリアフリーは法律等で規制する事で普及させる「行政指導型」ですが、ユニバーサルデザインは、良いものを褒めたたえ推奨する「民間主導型」と大きく異なっております。
ハード整備とソフト事業
バリアフリーとユニバーサルデザインは、それぞれがハード整備とソフト事業の2種類に分けられます。ハード整備とは、物理的に都市基盤や建物、乗り物、築造物などを整備する事を指し、ソフト事業は心の啓発(教育)と言われております。
物や施設などのハード面のユニバーサルデザイン(バリアフリー)が整備されたとしても、サービスを提供する人の心のやさしさや思いやりがなければ、本当の意味でのユニバーサルデザイン(バリアフリー)にはならないと言われるように、ハード整備とソフト事業ともに成果をあげなくてはなりません